摘要:本研究では、食感覚のオノマトペを中心に、評価と感覚二つの観点から分類し、日本人は食物への好き嫌い、または身体器官で感じた食物の性質を言葉でどうのように伝達するのをオノマトペを通して考察してみた。
て煮ったら柔らかくなり、歯に切られる柔軟度になる。しかし、ここでは、特例として、芋の異常な堅さを表現する。
(8)納豆はねばねばした糸が味のきめてなんだ。
納豆の特質として、粘り気が強くて糸を引く。「ねばねば」は糸を引くような粘り気があるさま、またはそういうものを表す。だから、ここでは、口当たりがべたつく納豆には「ねばねば」という語が最も適切であり、実際にもよくペアとして出現する。
2.2.2 聴覚
ここでの聴覚とは、ものを食べるときの歯切れ音や咀嚼音、あるいは喉ごしのよい食物がすすり込むときの音などである。すなわち、聴覚を表す食のオノマトペはすべて擬音語であること。例を挙げると、以下のようなものがある。
(9)とりたての生牡蠣に、レモン汁をかけてつるつると食べるそのおいしさ。
生牡蠣の表面にレモン汁がかけてあるので、すべすべになるのである。だから、食べるときにも滑やかで、汁が舌と摩擦した音が必ず出る。その摩擦した音を言語音、つまりオノマトペで表すと、まさにこの「つるつる」である。
(10)さくさくとりんごをかじる。
新鮮なりんごを食べると、水分が多いうえ、もろくて歯応えがいい。このときが発した音は、歯切れ音のことである、誰にも経験があるのが、人がりんごなどを食べているときに、その歯切れ音だけ聞いても、食べたくなるような、りんご自身の新鮮感が伝えられるのであろう。
(11)せんべいをぱりっと噛む。
「ぱりっと」は硬くて薄いものを噛み砕くときの音を表す。せんべいはやや硬いので、噛むときに、音は必ずする。その音をまねしたものは、「ぱりっと」のような言葉である。
2.2.3 視覚
視覚で感じた食感覚のオノマトペは一番数少ないが、それはまだ食べていないうちに、目で見た食物の様子であるもの。すなわちその食物の形態である。字面通りに擬態語に入る。例を見ると
(12)ご飯を冷蔵庫に入れておいたらぽろぽろだ。
「ぽろぽろ」とは、軽いものが一つ一つ落ちるさま。または、ものの水分がなくなって小さな粒状にまとまっているさま。ご飯を炊きたていたときに、粘り気もあって、膨らんでいるようすに対して、冷えたご飯は、一粒一粒ばらばらで、粘り気が抜けたのである。ここでは接触を伴わずに完全に視覚の表現としてのオノマトペである。
2.2.4 複合感覚
1.3に述べたように、一つの語で、二つ以上の意味が含むというのが少なくない。ここでも、同じ語形で人間の複数の身体器官で感じたものを同時に表すことが可能である。以下の実例を見ながら詳しく分析する。
ア.「触覚―視覚」
(13)ぎっしりと詰まった新鮮でぷりぷりのカニ身。
ここの「ぷりぷり」は視覚的体験か触覚的体験か、どちらに限定するのは難しい。目で捉える視覚感受としても弾力のあるようすが見られる上、歯応えとしての体験も表すことができる。視覚と触覚の感覚が相互に関わりあっていると見るべきであろう。
さらに例を見ると、このようなものがある。
(14)ボールに室温にもどしたバターと砂糖半量を入れ、白っぽくふんわりするまで木ベラですり混ぜる。
ある種の形状を視覚で捉えている。あるいは、経験的に知っていることから、視覚表現が成り立つ。この場合は、また、木ベラによる間接的な接触が認められるので、触覚的経験が関わっているといえる。
イ.「触覚―視覚―聴覚」
(15)お茶漬けをさらさら食べる。
ここの「さらさら」は、音(聴覚)を表すのか、素早くかき込む様子(視覚)を表すのか、もしくは舌ざわりや喉ごし(触覚)を表すのか。それはどちらの一つだけに限定することはできない。むしろ、この三つの感覚の重ねだというほうが説得力があるであろう。
(16)たらこ・塩数の子・塩いくらをセットにしました。一粒一粒ほぐして塩漬けにしたぷちぷちのいくら、スケソウダラの成熟卵を生のまま塩漬けにしたさらのたらこ、ニシンの卵を塩漬けにしたコリコリの数の子。
ここの「ぷちぷち」は口の中の感覚のみならず、視覚的印象(粒状のものが細かくぎっしり詰まっている様子)及び聴覚的印象(噛みきったときの音)のすべてを表すと考えられる。
ウ.「触覚―聴覚」
(17)ちょっともそもそした表面で、さらに、中の生地もかさかさして、何か喉乾きそう。
「かさかさ」というのは、まず、触覚として水分の少なさ、つまり乾燥感、または乾燥であるため、噛むときの破砕音。「かさかさ」の特殊なところは、その音感自身に乾いた感じがあって、このような音を立てるようなものが、水気を失って乾いた状態のものであることが多いから、触覚的にも乾燥感の感じるものが多いというところである。
(18)歯がきしきしするほどタンニンが強いですが、厚みのある味わいなので、全然気にならずに美味しく飲めます。
「きしきし」は堅いものなどの小さくすれる音を表す。すれる音であるから、摩擦音としては聴覚の面でのオノマトペ。なお、もう一面は、摩擦するときの歯応えとして、触覚方面のオノマトペとして扱われる。
エ.「嗅覚―味覚」「味覚―触覚」
(19)からし明太子だと、辛味がつんとして、それはそれでおもしろい味だ。
「つんと」というのが、強烈な匂いや味を表す。口と鼻がつながっているため、口が刺激的な味を味わうとき、鼻もその感覚を受け入れ、影響されるということで、嗅覚と味覚の複合感覚を表現するオノマトペである。
(20)スパイスをきかせた料理にも、デビルということばがしばしば使われる。で、これが
べられないくらいにひりひりしているのかと思うとそれほどでもない。
ここの「ひりひり」は味覚と痛覚の二つの感覚経験を表すと考えられる。味覚的刺激・嗅覚的刺激・触覚的刺激の三つは、そもそも明確に分けられないのではないか、という疑問が生じる。が、ここでは便宜上、舌ならば味覚、鼻ならば嗅覚、それ以外の皮膚感覚ならば触覚というように、刺激を感知する器官によって感覚を区分し、それらの相互作用を検討した。
オ.「視覚―聴覚」
(21)皆が混じってカウンターに並び、ずるずるとラーメンを食べる。
麺類などを素早く啜りあげるさまを表すずるずるは、聴覚が顕著な場合と視覚が顕著な場合がある。しかし、どちらかに限って表現するのではなく、むしろ聴覚と視覚の両方を表すと考えられる。これは、素早く啜り上げるとき、「ずるずる」という啜り音が立つ。
カ.「視覚―味覚」
(22)お肉の脂がこってりした仔羊や牛肉。
「こってり」が見た目の濃厚さと味覚を表すとき、油分の多い濃厚な味を同時に表すことができる。この触覚と味覚、そして視覚の意味の間の関係も触覚的に「こってり」しているものが視覚的特徴を有することが多いという私たちの経験を踏まえている。
以上、食感覚のオノマトペを感覚により分類整理した。五感で感じたものを器官別に分類され、どちらかの器官で感じるものが一番顕著であるかによって、オノマトペを選択することができる。すなわち、食前に食物を形容したいときは、視覚上のオノマトペを選択し、匂いの強い食物の食感を他人に伝えたいときは嗅覚を前提とし言葉を選択するということである。
3. おわりに
本研究では、食感覚のオノマトペを中心に、評価と感覚二つの観点から分類し、日本人は食物への好き嫌い、または身体器官で感じた食物の性質を言葉でどうのように伝達するの本论文由英语论文网提供整理,提供论文代写,英语论文代写,代写论文,代写英语论文,代写留学生论文,代写英文论文,留学生论文代写相关核心关键词搜索。