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2.2幻覚から見る「本能」の変化

前章は葉子が「智的生活」に反抗する過程で「本能生活者」としての成功を分析したが、その中で一つの注意すべき点があると考えている。前述したように、葉子は「自覚しかけて、しかし自分にも方向がわから」ないのである。テクストの中にも葉子の方向がない状態についても幾度も言及されている。例えば、

振り分け髪の時分から、飽くまで意地の強い目はしのきく性質を思うままに増長さして、ぐんぐんと世の中をわき目もふらず押し通して二十五になった今、こんな時にふと過去を振り返って見ると、いつのまにかあたりまえの女の生活をすりぬけて、たった一人見も知らぬ野ずえに立っているような思いをせずにはいられなかった。

葉子はとにかく恐ろしい崕のきわまで来てしまった事を、そしてほとんど無反省で、本能に引きずられるようにして、その中に飛び込んだ事を思わないわけには行かなかった。

方向性がないものの、前に分析したように葉子は本能に導かれて家父長制度やキリスト教が女性に加えた束縛を脱出し反抗していた。その時、「本能」は女性として個性を自由に成長させるために「智的生活」において阻害の要素に対する「反抗」だと言える。

しかし、葉子がアメリカへの船に乗った時に倉地の姿を目に映ってから頭の中にその「本能」の内容は変化していると感じた。『或る女』の中に、葉子はよく幻覚を見ている。その変化をはっきりとしたいが、まず幻覚から出発する理由を解明しよう。

幻覚は知覚する身体という領域に関わっている。幻覚は一種の心理現象で、錯覚と同じように、感知の方面の誤りに属する。実際の刺激や対象がないのに、あるように知覚することである。たとえば幻聴、幻視など。しかし錯覚とは違って、幻覚の発生は対象の客観的存在を前提とはしなく、主観的な考えから生まれたものである。幻覚は錯覚よりもっと主観的な要素を持っている。幻覚は心理学の上でマイナスの意味を含んで、それは人の病的な心理を反映している。医学の研究により、病気や重病の患者と極端な疲労である人を除いて、普通の人間は異常な状況に出会わないと、幻覚は見られない。ただ人がある種の熱狂的な追求、追憶に溺れたり、あるいは危険な状況にいたり、恐怖と絶境にであったりすれば、幻覚の体験は生じる。同時に、幻覚は直接または間接的に幻覚者の愛、恨み、追求または恐れたことを体現している。それは隠れた心の底の反映であり、内在な意向の焦点でもある。

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三、本論 ································· 8

3.1 有島武郎と「本能的生活」論 ............................... 8

3.2「智的生活」への反抗 .................................. 10

3.2.1 家父長制度に反抗する葉子 .............................. 10

3.2.2 キリスト教に反抗する葉子 .............................. 14 

四、おわりに ······································ 24 

三、 本論

3.1 有島武郎と「本能的生活」論

『惜しみなく愛は奪ふ』この評論は 1920 年 3 月 15 日から 31 日までに集中して書かれたのである。同年 6 月に『有島武郎著作集  第十一輯』として、叢文閣から出版された。それは有島が半月だけ経て完成したものだが、彼が広告文の中で言うように少なくとも五年以上の歳月を渡って築き上げたものである。この評論の源流を遡れば、おそらく 1910年脱会直後に有島の『白樺』に掲載された処女評論作『二つの道』と同年の「もう一度『二つの道』に就て」に至るまでである。

1という。「人は相対界に彷徨する動物である。絶対の境界は失われたる楽園である。人が一事を思う其瞬間にアンチセシスが起こる」2有島が近代人が二元的な道に歩んでいる姿を描いた。その二つの道は一体なんであろうか、有島が様々例を挙げた。例えばアポロとディオニソス、ヘレニズムとヘブライズム、霊と肉、趣味と現実、空と色など言い尽くせない二元化的なものは存在している。このようなディレンマにいる典型的な人物はハムレットだと有島が思って、彼は理智があるからずっと二つの道を彷徨っていた。有島は彼から自分を連想し、心からハムレットに同情を持っていながら、「相対界」にいる人間は自己の建設に励むのは一番先にすべきことだと結論付けた。しかし、最後に有島は「ハムレットであるうちはいい。ヘダ3になるのは実に厭だ。厭でもしかたがない。智慧の実を味わい終わった人であってみれば、人として最上の到達はヘダのほかにはないようだ」という感想があって二元的な生活と徹底的に決裂する気持ちを表明した。

『二つの道』に二元的な生活に対する態度を示したと言えば、『惜しみなく愛は奪ふ』はそれの解決するためにたてた策であるといえよう。『惜しみなく愛は奪ふ』は「本能的生活」の重要性をめぐって展開され、全文は二十九章があり、六つの部分になっている。第一章から第五章までは主に偽善のキリスト教の生活を振り返り、それを否定し、個性に立ち返ることを宣する。第六章から第八章までは二元の葛藤から個性を独立させたことを述べる。第九章から第十三章までは本能的生活の重要性を説いて、それは人間の個性が最も充実した状態であると強調する。第十四章から第二十章までは「愛」を解釈する。本能とは大自然の持っている意志を指すが、人間の本能は自覚をもってなしているのである。そういう人間の本能は愛と有島が呼んでいる。

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四、 おわりに

『或る女』は有島が『惜しみなく愛は奪ふ』における思想を反映する作品である。新しい女の身としての葉子は目覚めの道に進ませ、自分の努力で一元化の生活を実現させようとしているが、後編の葉子は社会から排除され、家族から除名され、友人から押しのけられて、死亡の結局を迎える。しかし、葉子でも有島でも彼らの個人的な追求は、当時の社会の現実とはそぐわなかった。追求すればするほど、矛盾は消えずに大きくなっている。社会の現実と思想の間に越えられない距離は遠く存在しているという事実は有島本人もはっきり意識した。本能的生活が行き詰まりのもので、一元化生活を実践した葉子は悲惨な運命を結末として迎えた。しかし、本论文由英语论文网提供整理，提供论文代写，英语论文代写，代写论文，代写英语论文，代写留学生论文，代写英文论文，留学生论文代写相关核心关键词搜索。