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明確化され、責任が細分化されるという分節化の特徴が示されると考える。「分節化」とは、Joan C. Tronto（1998)によって最初に提唱された概念である。Tronto は、ケアの実践のプロセスを「ケアニーズの存在を認知しそのニーズが充足されるようにアセスメントすること」、「ケアニーズに満足できる方法を決めること」、「具体的なケア行動を実施すること」という 3 つのステップに分けている。[３

子育てにおける分節化に関しては、中国の子育てに見られる分節化の特徴を指摘した宮坂の研究がある。宮坂は、日本の母親が子どもの世話の手続きをすべてカバーしている、つまり「ケアニーズの存在を認知しそのニーズが充足されるようにアセスメントすること」から「具体的なケアの実施」までの全てを母親が一人で担うのに対して、中国の母親たちは、子育ての具体的な実施を、ベビーシッターや祖父母世代による子育て支援ネットワークに依存していると述べている(宮坂,2013)。

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第三章日本における｢教育ママ｣の役割と教育目的.........................31

一、強度母業:日常生活から教育管理までの全般的なケア.........................33

二、教育ママという母親像への評価が低い.....................................34

三、子どもの感情表出と礼儀作法への関心.....................................36

第四章中日両国における近代家族と教育ママ..............................41

一、中国と日本における教育ママの最大の相違点:分節化.........................41

二、近代家族理論から見た｢分節化｣...............................42

結論.........................................44

第四章中日両国における近代家族と教育ママ

一、中国と日本における教育ママの最大の相違点:分節化

先述のように、中国と日本の教育ママに以下の特徴が考察される。中国における教育ママには、｢７歳児神話｣から｢3 歳児神話｣への変化、子どもの日常生活と教育管理の分節化、教育ママになることが肯定的に評価されていることという３つの特徴が観察された。具体的に言えば、教育競争が激しくなっているという状況に直面している母親たちは、子どもにいい教育資源を提供するように努力している。したがって、｢子どもが小学生になる時、教育し始めても遅くない｣という｢七歳児神話｣の育児理念とは違い、現在、中国教育ママたちは早めに子どもを教育すべきだと強調している。そして、親族から提供された育児援助ネーとワークがあるため、自分はこども社会的養育を担当している。これに対して、日本における教育ママには、日常生活から教育管理までの全般的な担当、子どもの感情表出と礼儀作法への高い関心、教育ママという母親像への低評価という３つの特徴が観察された。具体的に言えば、｢育児私人化｣と｢強度母業｣という理念に要求され、日本の教育ママたちはやむ得ず自分一人で子どもの生理的養育と社会的養育を担当している。そして、現在の日本社会では、教育ママという言葉には｢情け容赦なく子どもに勉強させる｣という負の母親像が伴い、教育ママになることにより、育児ストレスの増加など、日本の母親たちは教育ママという母親像に低い評価を示すのである。また、現在では、日本の教育ママの役割は、以前の「家で子どもを教育すること」から「教育市場で教育を購買すること」に変化している点も重要である。

図 1 中国と日本の教育ママの日常生活の分業

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結論

本論文は、質的なインタビュー調査を通じて、中日両国で教育ママと呼ばれる母親が持つ日常的な分業の特徴とその差異に焦点を当て、近代家族という理論的な観点から差異の原因を分析したものである。本稿の結論は、以下の 3点に整理することができる。

第一に、中国における教育ママには、｢７歳児神話｣から｢3 歳児神話｣への変化、子どもの日常生活と教育管理の分節化、教育ママになることが肯定的に評価されていることという３つの特徴が観察された。これに対して、日本における教育ママには、日常生活から教育管理までの全般的な担当、子どもの感情表出と礼儀作法への高い関心、教育ママという母親像への低評価という３つの特徴が観察された。

第二に、両国の教育ママの登場が、近代家族の発展と密接に結びついているという点である。両国における教育ママの登場時期は異なるが、その登場の背景に注目すると、様々な共通点が見られる。例えば、経済的側面から見ると、両国の経済がいずれも転換期にあり、産業構造の転換が生産単位の分離をもたらしたという背景がある。また、家族内の変化に注目すると、家族が私的領域になりつつあり、多くの女性が徐々に家庭に戻り始めていたという変化が背景になっている。加えて、出生率の低下によって子どもに対する多額の投資が可能になり、「子ども中心主義」が流行してきたことも重要な背景の一部である。これらの変化と特徴は、家族間に強い絆があり、私的生活を重視し、子供に対する強い愛情と思いやりのある教育を行う近代家族という家族形態の特徴と一致すると言えるのである。

第三に、中日両国の教育ママに見られる日常生活の役割分業における違いである。そして、その中で最大の違いは、子どもの日常生活の衣食住と教育管理の分節化に関するものであった。中国の教育ママは、祖父母による育児支援ネットワークを利用し、子どもの日常生活の衣食住を祖父母たちが担当し、教育ママは子供の社会的養育を担当する。一方、日本の教育ママは、子どもの衣食住から教育管理まで全面的に担っている。

参考文献（略）